【直伝】寿司屋が酢の違いや種類を解説【プロ向け】

職人の技術



悩む人
お寿司屋さんで使う酢の違いや種類ってどう使い分けてるの??
どんな酢が理想??

どうも。ハマちゃんです。今日は寿司屋に欠かせない“お酢”について解説します。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶寿司になぜお酢を使うのか
❷お酢の種類と特徴
❸お酢の使い分け方

寿司屋が酢の違いや種類を解説

僕自身が寿司学校に通ったり、ミシュランのお店で働いたり、高単価の寿司屋で勉強してきた事を踏まえた上で、数多くの寿司屋さんに食べに行き、研究したからわかる酢の違いを解説します。

この記事を読んだあなたは酢の違いでどんな味の違いが出てくるのかが理解できるようになり、今後の寿司ライフがより楽しくなる事でしょう。

寿司になぜお酢を使うのか

まず大前提として、なぜお寿司にお酢を使うのか。

それはお酢の誕生によってお寿司の概念が180度変わったからなのです。

もともと大昔、お寿司と言えば“熟鮓(なれずし)”と言われる物が基本でした。熟鮓については別記事にて紹介しているのでそちらを参考にしてください。

この熟鮓はお酢を使用せずに、お米自体を乳酸発酵させて作られるお寿司でした。それがお酢の誕生により、お酢の酢酸を用いて作られる“早ずし”に変わってきたのがそもそもの始まりです。

ー結論ー
お寿司はもともとお米自体を乳酸発酵して作られていたが、お酢の誕生によりその発酵させる手間をお酢を用いて代用するようになり、お寿司にお酢を使うようになった。

お酢の種類と特徴

寿司屋で使うお酢には基本的に3種類の物に分かれます。

(差別化の為、数種類のお酢を合わせている店もあります)

穀物酢

《特徴》
・原料ー小麦やとうもろこし、アルコールなど
・特徴ーあっさりした味わいで、すっきりしたお酢。いい意味でも悪い意味でも、クセがない。

寿司屋ではシャリ酢に使われることはあまりありませんが、魚を締めたり、ガリをつけたり、合わせ酢を作ったりするのによく使われます。

米酢

《特徴》
・原料ーお米、アルコール
・特徴ーお米の甘みとうまみが活きたお酢。アミノ酸などのうまみ成分が多く含まれる。

よくお寿司屋さんで使われる酢に米酢でありながら赤酢に近い特徴も持った物もあります。そのお酢は米酢でありながら、原料に赤酢のように酒粕も含まれている為、米酢にはないコクがあります。

赤酢のようにシャリに色がつかない為、シャリを白く仕上げたいお店などにはよく使われます。特に東京の名門店などでよく使われているようですが、多少クセがあるので使い勝手が悪いと言う職人もいます。

赤酢

《特徴》
・原料ー酒粕、アルコール、食塩など
・特徴ー米酢にはないコクや、まろやかな酸味と旨味。熟成させた酒粕を原料として作られる為、製造に時間がかかる。粕酢。

赤酢の種類によっては酒粕のみで作られたものや、酒粕と食塩のみで作られた物などがあります。それらの特徴は赤みが強く酢自体の旨みが強いところにあります。

シャリ酢の合わせ方

シャリを作る時に大事なのは、寿司ダネを活かすシャリを作ることです。シャリは寿司屋の顔であり、1番大事な要素の1つです。そのシャリを決めるのがシャリ酢の合わせ方です。

この合わせ方に関して言うと、正直決まりはなく職人によって様々です。そんな中でも僕が思うお酢を合わせる時の思考を簡単に言うとこうです。

深みを何で表現するか(コク)

米酢を使うシャリはお酢の種類にもよりますが、酢自体がシャープで角角しい為、砂糖や味醂などを入れてシャリ酢の味にコクを出し、酢をまろやかにします。

対して赤酢を使うシャリは酢自体がまろやかでコクがある為、そのコクを活かして調味料を合わせます。ほとんど砂糖を入れずに塩をたたせたシャリ酢にする寿司屋もあります。

お酢の使い分け方

お酢の使い分けは、寿司ダネを活かすシャリを作る為に重要な要素です。寿司ダネに応じてシャリ酢を数種類使い分けしている寿司屋も少なくありません。

ーミニ情報ー
大阪のとある寿司屋さんでは、寿司ダネに応じて白シャリ(米酢ベース)、赤シャリ(赤酢ベース)
あと、通称ロゼシャリ(ハーフ)を使い分けしています。

簡単に使い分け方を説明すると、淡白な味の寿司ダネには米酢がよく合い、濃厚な味や甘みのある寿司ダネには赤酢が合います。要するに、白身魚などを赤酢に合わせるのは難しいのです。

僕自身も寿司ダネに応じてシャリを2種類用意して食べ比べてみたり実験を繰り返しています。その際の記事もまとめておりますので、気になる方は参考にして下さい。

米酢に合う寿司ダネ、赤酢に合う寿司ダネを見分けるのは職人の重要なスキルです。自店のシャリの特徴を把握し、そのシャリに合う魚を仕込み、シャリに寿司ダネを寄せるイメージで仕込みをできなければいけません。

酢の使い分け方に正解はありませんが、酢自体の特徴を把握すると仕事の仕方が変わってきます。

ー独り言ー※個人の意見です
寿司屋として寿司屋の看板であるシャリを数種類用意するのは、美味しいを追求する上でリスペクトします。
しかし、自店のシャリ(顔)を変えずそのシャリに合わせて寿司ダネを選び、仕込みをし仕事を施す。
その構えもまたカッコいいなと思います。

万能型の米酢かクセのある赤酢か

結局のところはターゲット、客層、地域性や、提供方法などによって千差万別です。

比較的馴染み深くオールラウンダーの米酢を使うか、多少クセがあるがそのクセを活かし赤酢を使うか。職人の色やお店の色が出る重要な要素です。

寿司屋が酢の違いや種類を解説ーまとめ

寿司屋が酢の違いや種類について記事を書いてみました。

僕自身まだまだ勉強中ではありますが、プロとして自店のシャリに誇りを持ってこれからの営業にも邁進していきます。最後まで読んでいただきありがとうございます。

以下の記事では米酢を使ったシャリ酢の作り方も簡単に説明しています。ぜひ参考にしてみて下さい。

では、また。