【必見】鮭の生態を種類別に比較解説【食通向け】

豆知識



通りすがりA
日本人って鮭大好きだよな〜。
でも、鮭って色んな種類の物がいるけど、何がどう違うんだろう。

どうも。ハマちゃんです。今日は日本人ならみんな大好き鮭について解説します!!

とにかく鮭の仲間は多いです。そんな中でもここではサケ科サケ属に属する数種類のサケに注目しています。サケと一言で言うと通常シロザケの事を示すのですが、その他①タイセイヨウサケ②ベニザケ③ギンザケ④キングサーモンなどの仲間が存在します。

めちゃくちゃややこしいので、まずこの分類を把握し、それぞれにどんな特徴があるのかを掘り下げていきましょう!!

サケ科サケ属シロザケ通称ー①秋サケ、秋アジ ②夏サケ、時知らず(季節外れのサケ)
サケ科サケ属大西洋サケ別名ーアトランティックサーモン
サケ科サケ属ベニザケ別名ーソッカイ(英名がSockeye salmonである事から)
サケ科サケ属ギンザケ別名ーギンマス、シルバーサーモン、コーホーサーモン
サケ科サケ属キングサーモン和名ーマスノスケ

この5種類のサケには見た目以外に、産卵のタイミングや遡上前後の習性などに違いがあります。そんな各種の違いに触れながら比較解説していきます。

鮭の特徴を種類別に掘り下げる

【鮭・サーモンの特徴】
❶語源  
❷生態(遡上前後の行動、その他特性) 
❸産卵シーズンと旬

上記の特徴を種類別に比較し、掘り下げていきます。

語源

記載の表の通り、それぞれの語源を見ていきましょう。

サケ科サケ属シロザケ
秋サケ、夏サケ
時知らず
秋ザケは秋の魚のイメージから。
アイヌ語の「アキアチップ」がなまって秋アジとも呼ばれる。
夏サケは夏に取れるサだから。
または産卵期以外に取れるサケを“時知らず”とも言う。
サケ科サケ属大西洋サケ大西洋の固有種である事からアトランティックサーモンと呼ばれる。
アトランティックとは英語で大西洋の事
サケ科サケ属ベニザケ英名がSockeye salmonである事から、ソッカイとも呼ばれる。
繁殖期を迎えるとオスもメスも頭を除く身体全身が“べに色”になる事から。
サケ科サケ属ギンザケギンマス、シルバーサーモン、コーホーサーモンと呼ばれる。
シロザケに似ているが、他種のサケより格段に銀色の肌が美しい事から。
サケ科サケ属キングサーモンマスノスケのスケは大昔の国務大臣の補佐職である次官(介)から。
サケやマスよりも大型なこの種を、サケやマスと差別化する意がある。
(マスノスケ=マスの大物)※次官(スケ)はお国の大物
ーサケの語源の説ー
・アイヌ語で夏を意味する「シャク / shak」がなまってサケ、シャケと呼ばれた説
・身の繊維が柔らかく“裂けやすい”事からサケと呼ばれた説
・“酒によった人間のように朱色である”事からサケと呼ばれた説
・“酒の肴”として古くから親しまれた事からサケと呼ばれた説

生態(母川回帰)

生態の比較に入る前に、、、

前提としてサケの特殊な習性である“母川回帰性”についてご説明しておきます。サケは川で生まれ、ある程度成長したら海へ降っていきます

その後は海で餌を求めて成長していきますが、繁殖期になると産卵の為に自らが産まれた川へ再び帰っていきます。この習性の事を母川回帰と言います。この母川回帰のメカニズムは昔からずっと研究が続いておりますが、いまだに解明には至っておりません。

嗅覚刷り込み説と言う、嗅覚を使い自らが産まれた母川の特有な臭いを記憶し、その記憶を頼りに回帰しているのではないかとの説もありますが定かではありません

上記前提を踏まえた上で、生態の比較解説をしていきます。

サケ科サケ属シロザケ
秋サケ、夏サケ
時知らず
地域の差より、どの川に遡上するかによっての差が大きい
日本での遡上は高緯度地域(寒い地域)ほど早く始まる。
10月〜12月。北海道、東北地方の川が主となる遡上場だが、
日本海の西側や関東地方の川にも遡上し、産卵する。
サケ科サケ属大西洋サケ秋の産卵シーズンより早い春から夏にかけて遡上する
遡上してから産卵までの間、しばらく川で生活しその後産卵に入る。
産卵した親魚は大半は死んでしまう。
サケ科サケ属ベニザケこの種はサケ属の中でも特に強い母川回帰性を持ち
かなり正確に生まれた場所を突き止め遡上する。
卵から孵化した稚魚はすぐに海に戻らず、ある程度大きくなって海に戻る。
4年に1度のビックランと言い、100年続く調査の結果から4年に1度のペースで
多くのベニザケが遡上する。
水温の低い季節は南部へ、高い季節は北部に移動する
サケ科サケ属ギンザケ基本的には北海道の河川には遡上しないがごく稀に北海道の河川で
漁獲されることもある。ベニザケと同じく孵化してから1〜2年は
川で生活する。
サケ科サケ属キングサーモンマスノスケ。北海道北部にも分布するが、より北のロシアカムチャツカ半島
アメリカアラスカ州に多く分布する。
この種は分布する場所によって孵化した後すぐに海に戻る
物と、ベニザケと同じように1〜2年川で生活してから海に戻るもの

分かれる。サケ属の中でも1番冷たい地域を好む
ー遡上とはー…そじょう
川の流れをさかのぼって行く事。

産卵シーズンと旬

産卵シーズンと旬。旬と言いましても世界的にサーモンの養殖は盛んに行われている為、あってないような物かと思います。シロザケ以外の天然個体は海外からの輸入品がほとんどです。

属性名称産卵シーズン
サケ科サケ属シロザケ
秋サケ
産卵場所ー北海道、日本海
産卵場所ー日本列島太平洋側沿岸
産卵シーズンー9月〜10月
国産ー9月〜11月
※日本の天然のサケは
ほとんどがシロザケ
サケ科サケ属大西洋サケ産卵場所ー北大西洋
産卵シーズンー9月〜11月
流通量の大半が
養殖物である為なし
サケ科サケ属ベニザケ産卵場ーロシア、アラスカ
産卵シーズンー7月〜12月
外国産ー6月〜8月
サケ科サケ属ギンザケ産卵場所ーロシア、アラスカ
産卵シーズンー10月〜2月
外国産ー8月〜10月
国産養殖ー4月〜7月
サケ科サケ属キングサーモン産卵場所ーロシア、アラスカ。
海型の物ー10月〜2月
川型の物ー7月〜9月
国産ー4月〜7月
ー鮭の産卵方法ー※サケは4回くらいに分けて産卵します
❶メスの鮭は産卵場所を決めると少し穴を掘って、オスが来るのを待ちます。
❷オス同士の争いに勝ったオスが産卵の近いメスに近づき求愛します。
❸メスが抱卵すると、そこにオスが放精します。

その他の鮭

先ほどご説明してきました物以外にも数が少なく貴重なものや、独特な名前で呼ばれる種類のサケについて少しだけ説明してみます。

時しらず

季節外れのシロザケ。本来シロザケが獲れる時期は秋なのですが、季節外れの夏に獲れるので「時を知らない」という意味から“時知らず”と呼ばれます。通称“時ジャケ”。ロシアのアムール川という川に遡上へ向かう途中のサケではないかと言われています。アムール生まれのサケの遡上時期は夏。

鮭児(けいじ)

1万匹に1匹の幻のサケと呼ばれています。11月上旬から中旬にかけて知床網走沖で水揚げされ、時知らずと同じロシアのアムール川生まれのシロザケです。

違いは成長度合いです。鮭児は生殖巣が未発達である為、卵に栄養を奪われる事なくその身に栄養が行き渡っていると言われています。選別は腹の中の内臓から判断できます。

ちなみに、、普通のサケの15〜20倍の値で取引されます。

マスノスケ

国産天然のキングサーモン。国内の川に遡上することは稀な為、国産天然物は量が少ない。

サクラマス

サケの仲間ではあるが、マスと呼ばれる。このマスには海に降って成長する降海型の物と、川に残って海へ降らない物が存在します。川に残って住みついている物がよく耳にする川魚のヤマメです。

サクラの咲く時期にたくさん獲れる事からサクラマスと呼ばれます。遡上時期がサケに比べ早く、本州の早い所では2月から主に3月〜5月まで。北海道では少し遅く4月頃から7月ぐらいまでと言われています。

それぞれの見た目について

今回の記事にはそれぞれの見た目の比較はしておりません。見た目が気になる方はこちらの越後村上うおや様の記事を参考にしてみて下さい。

サケの見た目についてはこちら

引用元:越後村上うおや https://www.uoya.co.jp/cooking/鮭の種類いろいろ

鮭の特徴(まとめ)

どうでしょう。サケの種類とその特徴についてお分かりいただけたでしょうか?

独特な生態を持ったサケ。養殖物や輸入物が多く出回るこのご時世ですが、日本近海で水揚げされる天然のサケも養殖物とはまた違った美味しさがあります。ぜひ、機会がありましたら食べてみてくださいね。

ではこの辺で。