
どうも、ハマちゃんです。今回はアワビについて解説していきます。
❶アワビの種類について
❷アワビの有名産地について
❸蒸しアワビの作り方
目次
蒸しアワビの作り方
今日はお寿司屋さんの定番であるメニューの一つ『蒸しアワビ』
の作り方について解説したいと思います。
夏の風物詩
とも言える食材、アワビ。
お寿司屋さんに行くと、おつまみとして出てきたり、煮汁を使ったお椀が提供されたり、その食べ方は様々です。どの提供方法をするにしても、アワビを食べやすく柔らかくする仕込みが欠かせません。
今回はそのアワビの仕込み等についてです。
その前にまずアワビの種類や有名産地についても併せて勉強しましょう。
アワビの種類
まずはアワビの種類や、有名な産地について知りましょう。
日本で馴染みのあるアワビは主にこの4種類です。
特徴を表にまとめました。寿司屋でよく使われるアワビはクロアワビですが、この種類や特徴を知ると自分の好みや、特徴を知った上での選別ができます。
種類 | 特徴 | 旬の時期 |
クロアワビ | ・鮑の中でも最高級(12,000円/kg 以上) ・身は硬く締まり、シコっとした食感 ・5年ぐらいで15㎝ぐらいまで成長する | 6月〜8月 10月頃から禁漁期 |
エゾアワビ | ・黒鮑の北方系亜種ー北海道、東北地域に生息 ・黒鮑に味、食感が非常に似ている ・成長スピードが遅い(7年で10㎝程) ・生存適応能力が高く、養殖するのには適している為、 海外でも良く養殖されている。 | 11月〜1月 (寒冷地区基準) |
メガイアワビ | ・黒鮑に比べて安価に取引される(7,000円/kg 以上) ・身質は柔らかく、刺身には向かない ・成長スピードは黒鮑と変わらない ・黒鮑に比べて殻の厚みが低い ・白鮑、赤鮑などとも言われる | 6月〜8月 |
マダカアワビ | ・超大型で希少価値が高い為、高値(18,000円/kg 以上) ・身質は柔らかく、刺身には向かない ・全鮑の中での漁獲量は1%程の為『幻の鮑』と言われる ・全鮑の中で最も深い場所に住む ・最大30㎝ぐらいにまで育つ | 6月〜8月 |
アワビの有名産地について
アワビは日本全域に分布するミミガイ科の大型巻貝ですが、中でも有名な産地についてご紹介します。
千葉県:日本最高峰ブランド擁する
アワビの名産地と言えば千葉県大原の大型黒鮑“外房あわび”
。
その他“房総あわび”も有名なブランドとして有名です。千葉県は沖合には『磯根』
と言われる鮑が生息しやすい岩礁地域が点在しています。
その磯根にはアワビの餌となる海藻類が多く繁殖
している為、その餌の豊富さが有数のアワビ産地の所以です。
岩手県:漁獲量日本NO.1
生産量が全体の30%
と日本有数の名産地です。
アワビとウニをつかった伝統料理“いちご煮”
が有名です。この岩手県三陸沖沿岸部で取れる鮑は冬に旬をむかえ漁獲される“エゾアワビ”
です。
沿岸北部の洋野町(ひろの)では素潜りによるアワビ漁
が行われています。
素潜りと言うと女性が潜る海女さんのイメージが強いかもしれませんが、冬場の漁は男性が主に行っている
そうです。
2位宮城県全体10%、3位千葉県8%、4位徳島県5%、5位三重県5%と続きます。
三重県:三重ブランド
三重県では鳥羽・志摩地方を中心にリアス式海岸が発達し、岩礁域が多く好漁場
となっており海女漁業が盛んに行われています。
アワビも伊勢海老と同様に産地を明確に保証
しブランドタグ表記する事で安心を提供しているとのこと。
伊勢志摩地方ではクロアワビとメガイアワビを夫婦に見立て、妊婦さんに食べさせると目の綺麗な赤ちゃんが生まれてくると言う言い伝えから縁起物として贈り物としても使われているようです。
蒸しアワビの作り方
ここからは僕たち寿司職人が実際にアワビを提供する際に行う調理方法(蒸す)による仕込みをご紹介します。
アワビの掃除
❶殻付きのまま(殻を外してからでもOK)表面に塩を塗り込むようにまぶし、綺麗なたわしを使って表面の汚れを落とします。
汚れが取れたら、殻から外していきます。
❷殻の薄くなっている方から、木べらや食事用のナイフなどを差し込み貝柱を殻から剥がします。
手前のビラビラを持ち上げながら差し込んで行くと殻と貝柱の境目が見えるので、殻に沿ってすくうイメージで差し込みます。
貝柱を剥がす際に、力を入れすぎると貝柱の奥にある肝を傷つけやすいので注意してください。
肝を傷つけると肝が流れてきます。
❸殻から外れた身をサッと洗い、肝と身を切り離します。
※肝とその周りの貝ひもみたいな所も美味しいのですが、今回は身を蒸しあげる工程のみ説明します。肝は大体のお店が肝ソースや、肝醤油にして使用します。この肝の使い方も別記事にて説明してみます。
❹身をバットに並べ、アワビが浸る程のお酒を入れます。
この時にお好みで塩を入れるとアワビの味が引き立ちますが入れすぎには注意が必要です。塩を入れなくても柔らかくなりますし、味が抜ける事はありません。
❺そのままバットにぐるぐるにラップをし、蒸す際に香りが逃げるのを防ぎます。
アワビは旨味はもちろんですが、独特な程よい潮の香りがあります。
その香りをいかに残して調理するかが美味しくアワビを調理するポイントです。
❻熱した蒸し器の中にそのバットを入れ強火で1時間、様子を見ながら弱火にしさらに1時間から2時間ほど蒸しあげます。
この時の蒸し方は“蒸し煮” と言われる調理方法です。
普通にアワビだけを蒸してしまうと、アワビの旨味が外に逃げ出すだけでなく、香りも飛んでしまいますのでそれを防ぐための調理方法です。
強い火で蒸しあげると早く柔らかくはなりますが、香りが飛んでしまうため、火加減の調整も大事になります。
❼蒸し上がったら、お酒に染み出た旨味をじんわり鮑に含ませていくためそのまま常温になるまで冷まします。
ここまでの工程でアワビの旨味、香りを限りなく逃さず柔らかく調理する工程は一通りです。
蒸しアワビの作り方:まとめ
寿司屋さんでアワビを食べる時はその味は強いか弱いか。香りは残っているか。程よく柔らかいか。
このあたりを気にして食べてみてください。アワビの美味しさがどういうものなのかをより感じていただけるかとおもいます!
あと、お祝いなどで鮑が手に入った時は刺身ももちろん美味しいですが、この蒸し煮にぜひ挑戦してみてください。困ったことがあればコメントでも、Twitterからでも是非是非絡みに来てくださいね。