【鮎魚女】アイナメの旬や生態【寿司屋が教える】

豆知識



悩む人
アイナメって魚の旬や生態について教えてください。
有名な産地はどこですか?

どうも、ハマちゃんです。今日はアイナメという魚について解説していきます。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶アイナメの特徴や呼び名
❷アイナメの旬と生態
❸アイナメの有名な産地

アイナメの旬や生態

アイナメの旬や生態について解説していきます。そもそもアイナメがどんな見た目の魚なのかもわからないって方もいるかもしれません。

僕自身も寿司屋になるまでは見た事もありませんでした。よく獲れる地域やよく食べられる地域などによって身近だったり、身近じゃなかったりもあるかもしれません。

見た目で言うとホッケに似ています。ホッケは割と開きなどにされて加工品としてもよく見かけるのでイメージしやすいですが、アイナメは刺身で食べる場合は、食感が変わりやすい事から鮮度が命と言われています。

アイナメの特徴や呼び名

アイナメは地域によっては別名「アブラメ」などとも呼ばれます。

サイズと見た目の特徴

サイズで言うと大体30cmの物が多いですが、産地によっては50cmぐらいの個体の物も見かけます。特に東北地域で水揚げされる物は大きい個体が多い印象を受けます。

サイズが大きい物は脂のノリが良い印象はありますが、身質で言うと少しブヨっとしています。その為、鮮度がよくないと身の食感はあまりよくありません。

見た目で言うと背ビレが頭から尻尾あたりまで1本に繋がっており、鱗は少し細かいですがそこまで処理に手こずる程ではありません。

体色

体色は生息地の環境により若干違いが出ます。上の写真のように黄色っぽい物もいれば、少し赤身のかかった茶色をしている物など様々です。

繁殖期になると成熟して縄張りを持つオスには黄色の婚姻色が現れるそうです。同様に繁殖期に婚姻色が現れる魚種にウグイやベニマスなど(淡水魚)が存在しますが、海水魚はもともと派手な体色の魚が多いので珍しい特徴です。

別名・呼び名

通常アイナメを漢字で書くと「鮎魚女」と書きますが、鮎のように縄張りを持つことから鮎並(アイナメ)とも表記されます。

また地域によって呼び名が多く、北海道では白身魚にしては脂を多く持つ為アブラコ、東北では始終存在する事からシジュウやシンジョと呼ばれるようです。関西・四国ではアブラメ、宮城県では根魚である事からネウと呼びます。広島県ではあまりに美味しく、来年の籾種にする米まで食べてしまうことに由来し籾種失(モミダネウシナイ)などとも呼ばれるそうです。

アイナメの旬と生態

アイナメは明るい時間帯に小魚や甲殻類、ゴカイなどの多毛類を捕食します。基本的には岩礁帯やテトラポッド、防波堤などの陰に隠れて群れを作らずに生活します。

九州南部から台湾周辺あたりの海と太平洋側の一部を除く、日本列島各地の沿岸に生息します。

産卵期

産卵期は秋から冬で、前述したように成熟したオスは岩陰などに縄張りを作り、メスを誘い込みます。

オスは縄張りに次々と複数のメスを誘い込んで産卵させるので、卵は大きな卵塊となるそうです。

産卵が終わった後もオスは卵のそばに残り、約1ヶ月程敵を追い払いながら卵塊を守りますが、自分の卵以外には興味がなく、見かけると食べてしまう事もあるようです。自然界は残酷です…。

秋の産卵期に向けて栄養を貯め込む夏が美味しいと言われていますが、ほかの季節も味が落ちにくく、年間を通じて楽しめます。

他の白身魚に比べて鮮度が落ちやすいので、活け、活け締めでないと価値はあまりありません。特に春から夏にかけて瀬戸内海で獲れる個体は味がよいと言われています。

皮と皮下部分の旨味が強いので、皮目に火を当てて焼き霜造りにして食べても美味しいです。また、皮を引いた場合でも、皮を湯引きにしたり、パリパリになるまで焼くと皮だけでも美味しく食べられます。

目利きのポイント

アイナメは特に鮮度が落ちやすく、鮮度が落ちると食感がぶよぶよになる為、刺身で食べる場合は必ず活け締めされた物を選びましょう。

もし既に締められた物を買う場合は、体表面のぬめりが強く、体色が濃い物。目が澄んでエラが綺麗に赤いものを選ぶと良いです。鮮度が落ち古くなると、表面のぬめりが固まってくるので表面のぬめりが固まっている物は選ばないようにしましょう。

アイナメの有名な産地

アイナメは獲れる産地によっての個体差が分かりやすい魚です。産地によってサイズの違いや、体色の違い、取引価格の違いがあります。

過去に僕の仕入れたアイナメの中で最も高値で取引されていたのは、兵庫県の南西部の南側に位置する瀬戸内海は播磨灘で漁獲されたアイナメです。

瀬戸内海:播磨灘

アイナメに限らず、数々の好条件がそろった漁場でもある播磨灘では多くの魚が水揚げされます。季節感あふれる産地で、季節毎においしい魚介類があるので美味しい物が尽きることがありません。

有名なものとしてマダイ、マダコ、シャコ、マアナゴなどが挙げられます。またイカナゴ漁や、坂越湾(さこしわん)では牡蠣の養殖なども行われております。昔から魚の豊富な場所として知られており、特に播磨灘で漁獲された魚は評価が高く、瀬戸内産の中でもより高値で取引されます。

岩手県:三陸沿岸

岩手県の沖合では、南からは暖かい水を運んでくる黒潮が、北からは冷たく栄養分に富んだ親潮が、そして津軽海峡からは日本海の温かい津軽暖流がぶつかっていて、年間の水温が0℃近くから20℃以上までと、海の様相も非常に変化に富んだ海域です。

これらの海流と呼ばれる海の流れにのって多くの魚たちが岩手県沿岸にやってきます。

もともと高値で取引されていた産地ではありますが、東日本大震災以降三陸近海の魚の出荷がストップし、その辺りに住み着いていた魚が繁殖し価値が下がってしまったと言われています。

しかし、魚自体のポテンシャルは高く今では出荷数も回復傾向にあるようです。また前述もしましたが瀬戸内産のアイナメよりも魚体が大きい個体が多いように感じます。

アイナメの旬や生態:まとめ

アイナメについてまとめてみました。アイナメは高級魚として扱われている為、なかなか良い状態で家庭に届くことは珍しいかもしれませんが、鮮度が落ちても煮付けや唐揚げなど火を通して食べても美味しい魚です。

市場やスーパーで見かけた際はぜひ召し上がってみてください。

ではまた。