【寿司】マグロの良し悪し【わかりやすい】

職人の技術



どうも、ハマちゃんです。今回はマグロについて解説していきます。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶マグロの良し悪し
❷良いマグロの特徴

【寿司】マグロの良し悪し【わかりやすい】

寿司屋のヒーロー的存在である「本マグロ」について。

今回は本マグロの良い、悪いを僕なりの見解で簡単に難点か紹介していこうと思います。

寿司屋で提供される本マグロは産地や漁法、魚体の大きさ、又天然か養殖か、生か冷凍か。部位の違い。こういった要素によって高い物から安い物まで様々です。

寿司屋の職人はそんな様々な要素を持ったマグロがある中で、自店の客単価や売り上げ等を考慮した上で、自店のシャリにマッチする最高のマグロを見つけ出し、仕入れをしなくてはいけません。

高いマグロを仕入れれば良いわけではなく、生のマグロであればそのマグロがどんな処理を経てその場にあるのかを想像し、今どんな状態で、これからどんな変化をしていくのかを考えなければいけません。難しく、とても奥が深いのです。

そんなマグロの「良し悪し」をこれまでの経験を生かし解説します。

マグロの良し悪し

早速ですがマグロの良し悪しを一言で言うと「水っぽいか否か」だと僕は思っています。どんな魚にも共通することではありますが、マグロは特に水分量の多い物は良い物とは言えません。

水分量が多いと劣化が早かったり、きっちり手当てをしてあげても身がモソモソになったりします。まれに手当て次第で身の質が良くなったりすることもありますが、かなり稀です。

問題は魚の持つ水分量がどうやったらわかるかですが、割とシンプルです。

脂の含量が多い魚ほど水分含量が少なく、脂の含量が少ないほど水分含量は増えます。と言うことは、脂ののりが良いマグロ程、良いマグロであると言えると僕は思います。

ここで声を大にしてお伝えしたいのが「好みの問題は別」と言うことです。

どういうことかと言いますと、お客様の間でこういった声をたまに聞きます。

「脂の薄いトロが好き」「マグロの脂が苦手」こういった声はあくまで好みの問題になります。脂ののったマグロが苦手なら赤身を食べれば良いのであって、脂の多いトロを食べる必要がないので。

良いマグロの特徴

ここからは良いマグロとは?に着目して深掘りしていきたいと思います。

水分量

前述したように水分量が多いマグロより少ないマグロの方が質がいいと言えます。この水分量に関して言うと魚体によってマグロが持つ脂の量が変わってくるため、比較が難しいです。

小さいマグロ(ヨコワ、ヒッサゲ、メジマグロ等)であればあるほど、赤身が多くしっとりした身質をしています。赤身が多いと言うことは水分量も多いと言うことになります。その分さっぱりとした酸味と香りがあり水分量が多い分日持ちはしませんが、ヨコワにはヨコワの良さがあり、ヒッサゲにはヒッサゲの良さがある為、本マグロと比較することができません。

100kgを超す大きい魚体のマグロに関して言うと、旬である冬の津軽海峡周辺で豊富な餌を食べているマグロは脂も乗ってくる分、水分量も下がってきます。

脂の質

脂の質についてです。

わかりやすいので比較は天然の本マグロと、養殖の本マグロでします。先にお伝えしておくと、養殖のマグロも本当に美味しいですし好んで食べる人がいるのも頷けます。実際に僕も昔働いていたお店では単価の落ち着いた養殖のマグロを仕入れていた事もあります。

間違いなく天然のマグロより、養殖のマグロの方が脂が多い。その上天然物よりも安価に手に入る為、使い易いとは思います。

しかし、あえて比較をするとなると養殖マグロの気になる点もあります。それが脂の質の問題です。

要は養殖マグロは自分でハンティングをしなくとも餌があり、ハングリーに生活していない分、人間で言うメタボ状態にあります。かたや、天然のマグロは生きるか死ぬか。生きるために必死に餌を求め海を自由に泳ぎ回っています。そうして生き延びていく中で身についていった脂。

違いが出ないわけがないのです。やはり、養殖のマグロは悪く言うと脂がのりすぎている分「脂がクドく」感じてしまいます。その上、脂の香りも若干天然マグロの香りとは違う香りがします。

天然のマグロの脂は一言で言うと「甘い」

その上香りも良く、ちゃんとマグロを食べていると感じ取ることのできる香りがあります。

柔らかさ

寿司にする上で欠かせない要素です。マグロの身の柔らかさ。

この辺りのコントロールは僕たち寿司職人でも正直完璧に理解しているかと言うとそうではなく、理想通りにマグロが仕上がることもあれば、全くそうでない時もあります。

要は寝かし方。マグロの管理の仕方なのですが、色んな方法があるので、ここでは割愛します。

個人的に1番気になるのは豊洲市場のマグロ卸し業者「フジタ水産」さんのマグロです。インスタグラム等でよくお見かけしますが、目を疑うようなマグロの柔らかさと綺麗さ。エロスを感じる程、美しいマグロです。

香り

香りもマグロの大事な要素になります。

特に赤身はこの香りがあってナンボです。その香りは「血」の香り。「血」ときくとあんまりいいイメージをしないかもしれませんが、「血の臭さ」ではなく「血の香り」と言えます。

その香りと程よい「酸味」がシャリとマッチしてマグロを食べたときの幸福感を感じれます。

赤身を食べてこの香りを感じれない場合は「外れを引いた」と思うと良いでしょう。本当に美味しいマグロの赤身は羊羹のようにねっとりしていて、ほのかな血の香りがします。そして、シルクのようにつるっとした滑らかな口触りがします。

【寿司】マグロの良し悪し【わかりやすい】:まとめ

簡単ではありますが、マグロの良し悪しに触れた上で、難点かマグロの良さを深掘りしてみました。

寿司屋のマグロ。こだわればこだわるほど自らの首を締めることにもなる。しかし、本当に美味しい物をお客様に届けたい。その想いが寿司職人の信念です。

これからも色んな良さを見つけ出し、より美味しいマグロを提供できるようになろうと思います。