どうも、ハマちゃんです。今日は寿司屋で扱う色んな種類の貝を一つ一つ解説してみようと思います。
❶貝の種類
❷寿司屋でよく取り扱う貝について
目次
貝について
一言で貝と言えど貝にも色んな種類の貝がいます。
大きく分けると「二枚貝」
と呼ばれる二枚の殻に包まれているものと、「巻貝」
と言い渦を巻いた殻や、平たい一枚の殻に包まれているものとが存在します。具体的に言うとそれらに含まれないものもありますが、寿司屋で取り扱うことはほぼないので省略します。
二枚貝
二枚貝の最大の特徴は二枚の殻で身を包み込むようにして身を守っている
ことです。代表的な物で言うと、ホタテやハマグリ、アサリなどでしょうか。
同じ二枚貝でも種類によってその生活スタイルは違っていて、砂や泥の中に潜って生活する物もいれば、岩の表面に穴を開けて同化しているような物もいます。
ほとんどの二枚貝は水管と言う水を吸い込む管のような物が備わっており、海水と一緒に海中のプランクトンを吸い込みエサだけこしとって食べています。その餌をこしとる機能を持つのがエラです。二枚貝のもう一つの特徴として、このエラがよく発達しています。
基本的に二枚貝は活発的に動くことはありませんが、中には敵に襲われそうになった時に、貝殻を勢いよく閉じて、その勢いを使って逃げるものも存在します。
巻貝
巻貝はよく見かけるサザエやツブ貝などの渦巻いたソフトクリームのような形をした殻を持っている
物ですが、見た目が全く違うアワビやトコブシなどもこの巻貝の仲間になります。
その他にも殻を持たない軟体動物の中に、本来殻を持っていたが、退化して殻がなくなったウミウシやアメフラシといった物も巻貝の仲間になるそうです。
巻貝は二枚貝とは違い、歯舌と呼ばれる人間の歯にあたるヤスリのようなものが備わっています。この歯舌を使って餌となる物を削りとりながら食べます。餌も種類によって異なり、藻を食べる物もいれば肉食の物も、雑食の物も存在します。
寿司屋でよく取り扱う貝の種類
ここからは寿司屋でよく取扱う貝の紹介をしていきます。
アオヤギ貝
あおやぎ貝の「アオヤギ」と言う名前は、かつての名産地である千葉県青柳村
に因んでそう呼ばれるようになりました。標準和名は「バカガイ」といいます。諸説ありますが、あおやぎ貝の殻が薄くすぐ割れる事から「破家貝」
とついたとされています。
今だに東京湾での水揚げもありますが、大多数は北海道産が占めています。産地によって味や色、食感の違いがあり、東京湾の物はオレンジ色が強く、香り高い。北海道産の物はやや色が薄くて、大粒のものが多く、身も肉厚です。
旬は冬の終わりから春の終わりまで。
あか貝
色、味、香りどれをとっても貝類を代表する寿司ダネ
です。
名前の通り赤い身をしており、サクサクコリコリした食感と味、なんと言ってもあか貝の香りはスイカを食べてるかのような爽やかな香りがします。
千葉県検見川、北海道上磯などの産地が昔から名産地とされていましたが、埋め立てなどでなくなってしまいました。今ではあか貝と言えば、宮城県 閖上産が最も有名な産地でブランド
として確立されています。
その他宮城県渡波町、大分県、福岡県、山口県の周防灘、香川県観音寺などの物が上質で高値で取引されています。とは言え、流通されるほとんどの物は韓国や中国産のあか貝だと言われています。
やはり国産の方が需要が高いようですが、個人的には半年間韓国の寿司屋で働き韓国産の物も現地で使っていましたがなかなか美味しかった覚えがあります。
旬は晩秋から冬の寒い時期です。産卵期に入ると一気に身痩せし、味が落ちます。
あわび
夏の高級食材の一つ「あわび」
です。生であわび本来の味と香りを刺身で楽しむのもよし、柔らかく酒蒸しにしておつまみにするも良し、握るもよしです。
あわびにも種類や名産地がありますが、別の記事で詳しく解説しているので良ければそちらもご覧ください。
かき
食用とされるかきには「いわがき」と「まがき」があります。
それぞれ旬が異なり、「まがき」の旬が冬で養殖物が多いのに対して、「いわがき」は夏が旬で天然物が豊富です。「まがき」の養殖地は全国に点在してますが、特に有名なのが広島県と三陸海岸です。
あまり握りで提供するお店は少ないですが、「まがき」を低温調理でじっくり火を通す事で縮む事なく、美味しくお寿司で提供することも可能です。
「いわがき」は生でおつまみで提供することが多いですね。
サザエ
サザエは北海道〜九州の水深20mぐらいの岩礁に生息
します。
サザエの大きさは様々ですが、日本海側よりも太平洋側で取れる物の方が大きく成長するといわれています。年中手に入る食材ですのでスーパーなどでもよく見かけますね。
旬は春から夏です。
僕のブログでは特大サザエ、通称「オニサザエ」について記事にまとめていますので。ぜひ参考にして見てください。
本みる貝
別名「ミルクイ」
の名でも知られる本みる貝。水管の先に「ミル」と言う海藻がついていることが多く、その「ミル」を食べているように見える為ミルクイと呼ばれるそうです。
食用として重宝されるのは水管の部分
です。水管以外の部位(貝柱、貝ひも、胴体)も食べられるのですが、みる貝ならではの食感と香りが味わえるのは水管です。水管の部分を握りにするならサイズにもよりますが、1匹のみる貝からとれて3貫です。
近年では漁獲量も少なくなってきており、高級貝の一つです。
旬は寒い時期から春先にかけて。
白みる貝
本みる貝に似た貝で白みる貝と呼ばれる貝がいます。標準和名は「なみがい」
と言います。見た目は少し似ていますが、殻の大きさや色、水管の大きさなどが違います。
なみがいが「白みる貝」と呼ばれるようになったのは、本みる貝の数が減って本みる貝が高価になったからです。本みる貝はメインの可食部の水管が小さい上に、白みる貝の倍近い値がつきます。
白みる貝は正直味は本みる貝には劣りますが、鮮度があれば食感も良く、甘みがあって美味しいです。
旬は産地にもよりますが、冬から春にかけてです。
たいら貝
たいら貝は別名「タイラギ」
とも呼ばれます。
たいら貝には殻の特徴が違う2種類存在するようです。研究の結果、殻の表面に突起物がありザラついている物と、殻の表面がツルッとした物とでは遺伝学上、別種として分類されています。
また双方の混雑種も発見されていますが、それらを総称してタイラギとしてくくられる事が多いです。
ホタテなどと同じで貝柱の部分が可食部
とされますが、ホタテなどとは違い身がしまって硬く歯応えもしっかりしています。握りで提供されることもありますが、食感を活かして海苔に巻いて磯辺焼きにして提供されたりもします。また養殖物もありますが、天然物と比べると身が白く柔らかい
です。
旬は冬から春にかけて。
とり貝
とり貝は黒い部分が鳥のくちばしのような形状
をしています。とり貝の名前の由来もこの形状からです。又、味も鶏肉に似ているからとの説もありますが、寿司屋の僕は似ていると思った事は1度もありません。。
この黒い部分は他の動物でいう足の役割をしています。実際に見たことはありませんが、外敵のヒトデなどから逃げる際にこの足を使ってジャンプし逃げることもある
そうです。
とり貝は貝類の中でも爽やかな香りと食感で、他の貝ほどクセもなく食べやすいです。旬は初夏
です。出回る時期も限られている為、初夏と言えばとり貝のイメージがついています。
とり貝についても別記事でまとめてますので、参考にしてください。
ハマグリ
ハマグリの語源は栗に似ているからといわれています。浜で採れる栗に似た貝から「ハマグリ」
と言うことです。
知らない方も多いかもしれませんが、実はハマグリには数種類のハマグリが生息します。
1つは水質や環境の変化によって数が激減してますが「ホンハマ」と呼ばれるハマグリ、もうひとつは浅瀬に生息する「チョウセンハマグリ」です。チョウセンとつきますが外来種ではなく、昔から外洋に生息する固有種です。正直に言うと、味の差はほとんどありませんが殻の膨らみ方や色に若干の差があります。
寿司屋では煮ハマグリにすることがほとんどですが、蒸し寿司にしたり、お吸い物にしたりして提供されることもあります。いずれにせよ火を入れ過ぎると硬くなる
ので、火加減の見極めが重要です。
旬は寒い時期から少し水温が暖かくなってくる初春。2月〜3月頃。
ハマグリの貝殻は対になっている貝殻でなければぴったりと合わない事から仲の良い夫婦を表し、縁起物として雛祭りなどで食べられます。
ホタテ貝
ホタテは貝殻の一片を船の帆のように開いて立て、水中を泳ぐことができる事から「ホタテガイ」と名付けられています。また天敵から身を襲われそうになると、貝殻を勢いよく閉じる事で移動し身を守ったりもできます。
天然と養殖とで区別される事もありますが、天然といわれている物のほとんどは養殖技術で育てた稚貝を放流した物で、100%天然の物は数が減ってきている
ようです。
ホタテは可食部が多い為、食べる部位の美味しさは時期によって異なります。産卵期は春で産卵に備えて冬のホタテは身全体が肥大し大きくなる為、この時期が旬といわれていますが、貝柱自体の旨味成分が最も高くなるのは産卵が終わった夏の時期ともいわれています。
ホッキ貝
ホッキ貝は正式名称を「ウバガイ」
といいます。とても長生きする事から、姥貝(ウバガイ)と呼ばれている説もあります。長い物で30年も生きるそうです!
アサリやハマグリのように砂を吐かせることが難しい為、下ごしらえの際に注意が必要です。丸ごと茹でてしまうと内臓の中に砂や泥が入ったままになるので美味しくありません。生息域は寒冷地域の海域(北海道、青森、岩手、宮城など)に多く、美味しい旬の時期も寒い冬の時期から春にかけてです。
ホッキ貝と言えば胴体部分のピンク色が特徴的なのですが、あのピンク色は身に火が入ることで変化
しています。火を通す前のホッキ貝は黒っぽい色をしています。
通常二枚貝の多くは砂や泥の中に潜んで生活している為、体内に砂や泥が溜まっています。
それを綺麗な塩水につけておくことで、貝自身が体内の砂や泥を吐き出します。
まつぶ貝(エゾボラ)
つぶ貝や、つぶと言うと色んな種類の貝を指すことがありますが、ここでは「まつぶ貝」を紹介します。
流通のほとんどのものが北海道産の物
です。わずかに日本海各地や三陸産の物もあるようですが、ほとんど見かけません。特に大きい物は貴重なので高値で取引されます。
通年水揚げされますが、産卵期の初夏から夏にかけては漁獲量が減るようです。
ツブ貝には唾液腺という部分に人の神経を麻痺させる「テトラミン」という有毒成分を含んでいます。
これを食べると、視覚異常、頭痛やふらつきなど酒酔いのような症状を起こすことがあります。
テトラミンは加熱しても毒素が消えません。なので刺身にする場合だけでなく、火を通す場合でも唾液腺は取り除かなければいけないので注意が必要です。
寿司屋で扱う貝の種類:まとめ
簡単ではありますが、寿司屋で扱う貝を少しだけ掘り下げ解説して見ました。
調理方法なんかも説明したいところですが、莫大な量になってしまうのでよかったらこの記事で気になった貝の食べ方や処理方法などを別で検索して見てください!
ではこの辺で。