【白とり貝?】石垣貝の旬や生態【寿司】

豆知識



悩む人
石垣貝って貝を初めて食べました!すごく美味しかったんだけど、どんな特徴のある貝なんですか?
わかりやすく教えてください。

どうも、ハマちゃんです。今日は石垣貝(イシガキ貝)について解説していきます。

ーこの記事を読むとわかる事ー
❶石垣貝の名前の由来
❷石垣貝の見た目と味の特徴
❸石垣貝の旬と生態

【白とり貝?】石垣貝の旬や生態【寿司】

この記事を読んでくださっているという事は、石垣貝を食べた事がある。もしくは聞いた事がある。方々なのだと思います。もちろん食べ方は様々で焼いたり、お刺身にしたりする事もありますが、僕は寿司屋なので、寿司屋の目線で石垣貝について解説していきたいと思います。

握りになった「石垣貝」をみるとよくお客さんが言うのは「とり貝みたい〜」です。

あくまで見た目の問題での話ですが、確かに「とり貝」に似ています。その様から「石垣貝」は「白とり貝」などと言われることもあります。

そんな石垣貝の特徴や豆知識を掘り下げながら、解説していきます。

別記事で「とり貝」についても触れています。参考までに。

石垣貝の名前の由来

まず「石垣貝」の名前についてです。

「石垣」とついていますが沖縄の石垣島は全く関係ありません。

そしてここまで「石垣貝」と呼んできましたが、正式名称は「エゾイシカゲガイ」「蝦夷石影貝」と言います。

では、なぜ「石垣貝」と呼ぶかと言うと、単なる勘違いが別名となって広まっていったそうです。

流通が広まった頃に、「いしかげがい」を市場の人たちが「いしがきがい」と呼び間違え、勘違いしたまま「いしがきがい」が定着してしまったのだそうです。そして不思議ですが、今も「石垣貝」と呼ばれることの方が多く、正式名称が「石垣貝」だと思っている人が多いです。

その名前から沖縄県の石垣島をイメージされる方もいますが、実際は真逆で正式名称に「エゾ・蝦夷」とつくように、北の寒冷海域に棲む貝です。

主な産地として「岩手県・陸前高田市」が有名です。

ーエゾ・蝦夷とはー
古代に、北関東から東北・北海道にかけて住み、朝廷の支配に抵抗し服属しなかった人々。
蝦夷地と言うと北海道の事を指す。
えみし。えびす。とも言う。

石垣貝の見た目と味の特徴

ここからはその「石垣貝」の見た目や味の特徴に触れたいと思います。

「石垣貝」の見た目は「とり貝」に非常に良く似ていますが、主な可食部である足の部分の色や、貝殻の厚み、味わいも若干異なります。

とり貝との比較

上の写真が「とり貝」で、下の写真が「石垣貝」です。こう並べてみると違いが分かりやすいです。

この写真で見る黄色い部分が足の役割をします。

この足を使って自分の身を守るためにジャンプしながら敵から逃げたり、砂に潜って隠れたりします。

味と食感の特徴

その味もとり貝と似ていると言われる事もありますが、僕はあまりそう思いません。

とり貝は割と爽やかで食べやすい貝の味ですが、石垣貝は貝独特のほのかに感じる磯の香りと味がしっかりあるので貝好きにはたまりません。

貝殻はとり貝よりも少し分厚く、身もとり貝よりも詰まった身質をしています。分かりにくい表現になるかも知れませんが、とり貝が「ツルッ」とした身質なら、石垣貝は「ムニっ」とした身質をしています。

石垣貝の旬と生態

ここからは石垣貝の旬や生態といったさらに深い分野に触れていきます。

石垣貝の産卵期

石垣貝の産卵は12月〜2月頃の冬の寒い時期に行われるようです。

養殖物はこの時期に採卵が行われ、採卵から出荷まではおよそ2年半から3年程かかると言われています。

基本的に貝類は産卵すると身が縮み、味も落ちると言われています。その為、産卵期に入る前の数ヶ月が旬の美味しい時期であると言えます。

石垣貝の旬

「石垣貝」の美味しい旬の時期は7~9月です。

産卵明けから身が回復してくるのが夏頃なので、その時期に市場に出回ります。

この時期初夏が旬のとり貝の最盛期が終わりを迎えるため、とり貝の代用品としてこぞって寿司屋が使い始めます。「待ってました」と言わんばかりに一気に石垣貝が出回りますが、石垣貝の出回る時期もそんなに長くない上に、産地も限られている為、高値で取引される事が多いです。

天然物であれば秋から産卵前の晩秋が1番味が良くなると言われていますが、天然物はほとんど市場には出回らないそうです。

石垣貝の養殖

岩手県広田湾で平成7年から養殖技術の開発に力を入れ、約1年間で様々な養殖技術を確立し、平成8年に全国で初めて養殖の事業化に成功したそうです。

近年でも大きい規模で養殖を行っているのは陸前高田の広田湾だけで「幻の貝」とも言われていましたが、平成23年の東日本大震災によって養殖施設は大打撃を受け全てを失ってしまいます。

しかし、国の支援などの協力の元およそ2年の歳月をかけ出荷を再開し、現在は「広田湾のイシカゲ貝」としてブランドが確立されていますし、市場に流通しているものはほぼ全てが岩手県陸前高田市広田湾の養殖物です。

【白とり貝?】石垣貝の旬や生態【寿司】:まとめ

今回紹介した「石垣貝」は通年出回るような貝ではない為、食べられる機会は少ないかも知れませんが、ぜひ機会があれば食べてみてください。

寿司屋で夏の貝といえば「石垣貝」です!

では、この記事はこのへんで。