どうも、ハマちゃんです。今回は寿司職人の僕が鯖のブランドや生態、酢締めの仕方などを解説します。
❶鯖の豆知識・雑学について
❷鯖の名産地・ブランドについて
❸鯖の酢締めの方法
目次
【寿司】鯖のブランドや酢締めの方法【旬や生態】
寿司屋では鯖をよく提供します。そんな鯖のブランドや旬・生態、酢締めの方法などを解説していきます。
まずは鯖の生態について見ていきましょう。
鯖の生態
日本近海にはマサバ、ゴマサバ、グルクマ、ニジョウサバがよく見られます。主に日本人の口によく入るのが、マサバ、ゴマサバです。基本的にサバは秋から冬にかけてが旬
とされており、その時期の鯖を秋サバ
と言います。
鯖は回遊魚のため春頃に静岡県伊豆半島沖で産卵し、餌を食べながら北上していきます。北海道あたりはエサが豊富で丸々と太りますがこの時期の鯖は脂が身全体にまわりきっていません。
鯖が産卵のために南下を始める時期が秋頃であり、その時期の鯖は脂肪が身にまわり味、風味が格別です。特に青森県八戸で水揚げされる「戻りの鯖」は別格
です。
北上する鯖と南下する鯖とでは全く味わいが違うのです。
鯖の豆知識・雑学について
豆知識、雑学に少し触れましょう。
加工品は外国産の鯖が多い
日本のスーパーなどにならぶ7割がノルウェー産の大西洋サバ
です。例外もありますが、スーパーの切り身などの多くはノルウェー産の太平洋サバです。
ノルウェー産の鯖は冷たい海水で生活する為、脂乗りが良く好まれます。
日本は資源管理が機能していない
日本では資源管理が機能していない為、小型の鯖が漁獲される事が多い
と言われています。
日本で取れる小型の鯖は脂の乗りがあまり良くない為、安価で取引されます。
その小さい鯖のほとんどが加工品(主にサバ缶)や他魚種の養殖の餌
となります。
安いが故に日本人には好まれませんが、アフリカ諸国でも手にしやすい為、特にナイジェリアやエジプトを中心とするアフリカ諸国への輸出が多いそうです。
寄生虫アニサキスに注意
鯖の身にはアニサキスが寄生している事が多いです。
基本的には内臓に寄生していますが、鯖が死に鮮度が落ちると鯖の身にまでアニサキスが移動してしまいます。その為、生色はタブー視されがちです。
そのリスクはありますが九州では生食の習慣があります。僕の地元は大分県ですが、大分県では普通に鯖の刺身が提供されていたりもします。その要因の1つにアニサキスの種類によっては鮮度が落ちても内臓から身に移動しにくい物もいるからとの説もあります。
アニサキスを死滅させるには、加熱もしくは冷凍が必要です。寿司屋にもよりますが、僕は酢締めにした鯖を1度冷凍しアニサキスの寄生リスクをゼロにしています。冷凍すると身質が変わってしまう為、握り寿司の寿司ダネとしては使えませんが、棒寿司にしたり、バッテラなどでしたら提供も可能です。
鯖の名産地・ブランドについて
鯖は太平洋沿岸地域での水揚げが多いです。
中でも名産地として知られるのは大分県佐賀関(関サバ)、神奈川県三浦市(松輪サバ)、愛媛県佐多岬(岬サバ)、青森八戸(八戸前沖サバ)、宮城県石巻市(金華サバ)、宮崎県(ひむか本サバ)、長崎県(旬サバ)、三重県(安乗サバ)などが有名です。
上記のように日本ではブランド化されてる鯖がいくつかあります。一部紹介します。
豊後水道の関サバ 大分県
言わずと知れた、だれもが知る日本最高峰の高級サバ
です。
関サバはすべて一本釣で獲られます。特殊な潮流とそれがもたらす豊富なえさが、関さばのおいしさを生み出します。穫られた関サバは「面買(つらか)い」と言う独自の方法で売買されるようです。
魚が暴れる事で鮮度が落ちるのを防ぐ為、水面上から泳いでいる魚を見て値段を決める方法です。
見た目だけで重さと品質を判断します。
三浦半島の松輪サバ 神奈川県
上の関サバに並ぶ高級サバです。
三浦沖で一本釣りされ、本当に鯖なのか?と思うほど身質がしっかりしており、脂がのって美味しいです。さばを生で食す食文化が定着している関西でも高い評価を受けています。
松輪サバは、胴体から尾にかけて黄色い筋が入る事から「松輪の黄金サバ」
とも呼ばれます。
屋久島の首折れゴマ鯖 鹿児島県
ゴマ鯖は真鯖に比べ脂控えめでしっかりした歯ごたえが楽しめる鯖です。
”首折れサバ”は、血を抜くのと鮮度を保つために、獲れたらすぐに首を折ることから
その名がつきました。普通のサバに比べて脂が控えめで、刺身にすると身の締まった歯ごたえが味わえます。鮮度がよいため、コリコリした触感があります。
土佐清水の清水サバ 高知県
清水サバもゴマサバで主に刺身やタタキで食べられます。
清水サバは、瀬付きのゴマサバ
です。高知県南西近海は潮の流れが速いうえに餌が豊富で、 身の締まったサバを育てるのにピッタリの条件を備えています。通年漁獲されますが、特に秋から冬にかけて漁獲されるサバはトロのような脂が乗り一層おいしいと言われています。
回遊せず、プランクトンや餌の豊富なポイントに住みつく事。
鯖の酢締めの方法
基本的に酢締めにする前に塩で締めます。
身の両面が塩で隠れるくらいたっぷりの塩で覆い、余分な水分をぬいてあげます。塩のあて具合は人それぞれですが、ポイントはサイズ感、身の厚み、脂ののり具合の見極め
です。
脂が少ない、身の薄い鯖に長い時間塩をあてると水分をもっていかれすぎて仕上がりでパサつきます。
僕は小さめのサバでしたらだいたい15分くらいで状態を見て判断します。
塩を当てるまでの手順
①水洗い(ウロコをとり頭と内臓を取り除く)
②2枚におろす
③腹骨を少しだけうかす。※塩を均等にあてる為
④塩をあてる
鯖を酢締めにする(酢につける)
ほどよくサバの水分がとれたら塩を洗い流し、酢につけこみます。
僕はだいたい塩をあてていた時間を目安
に酢締めします。酢も生酢をつかうと酢が入りすぎてしまうので割酢を使います。
※酢3 に対して 浄水1の割合
鯖を酢締めにする(寝かせる)
酢締めが終わったらリードペーパー等で酢をよくきり、リードで包みラップで覆い寝かせます。
この時の保管方法はお店や個人によって様々
です。
さらに一手間
求肥昆布
という蒸して柔らかくした昆布で巻いて保管します!
こうすることで寝かせる間に昆布の旨みも効かせることができます。
お店によっては酢締めにしてすぐに提供する方もいますが、ぼくは酢を馴染ませるため3日間は寝かせることをおすすめします。
アニサキスの対策をするなら、ここで真空にして冷凍すると良いです。ざっくり手順を説明してみました!ポイントはどこまで水分を抜くかです。まずは好みの質感を見つけましょう!
鯖のブランドや酢締めの方法ーまとめ
一言で鯖といえど種類も多く、個体差も様々です。寿司屋では自店のシャリに合わせた仕込みを鯖の特徴を踏まれて仕込みます。又、提供方法も様々です。
色んな鯖を食べて自分好みの鯖を知るともっと鯖の面白さがわかってくると思います。
では、このあたりで。