どうも、ハマちゃんです。今日は筋子・イクラについて解説していきます。
❶筋子とイクラの違いについて
❷筋子の雑学
❸鮭の産卵について
目次
【簡単】筋子・イクラの豆知識【寿司屋が教える】
皆さん、おそらく「イクラ」と言われればオレンジ色のドラゴンボールのような粒々をイメージできるのではないでしょうか?
しかし「筋子」と言われると「?」が思い浮かぶと思います。
筋子はイクラじゃないのか?筋子の正体は何なのか?等皆さんが悩む事があるであろう点について掘り下げていきたいと思います。
筋子とイクラの違いについて
結論から言うと、筋子もイクラも物は同じ「鮭の卵」です。
簡単に言うと「加工状態の違い」に違いがあります。イクラは筋子をバラして加工したもの。筋子はイクラのようにバラバラにせず卵巣膜をつけたまま加工したもの。
「鮭の卵」は鮭のお腹の中では卵巣膜という薄い膜でつながっています。それを残したまま加工したものが「筋子」、加工する上でバラしたものが「イクラ」という事になります。
また加工される前の筋子のことは「生筋子」や「腹子」と呼ばれます。
あとは、加工される上で成熟度合いの違いも出てきます。産卵直前の成熟卵は基本的に卵巣膜をバラしてイクラにするのに対して、成熟前の卵は卵巣膜ごと加工し筋子になります。
まとめます。
○鮭の卵巣=生筋子
○筋子=生筋子を卵巣膜がついたまま塩漬け、醤油漬けなどに加工した物
○イクラ=生筋子の卵巣膜を取り除き塩漬け、醤油漬けなどに加工した物
筋子の雑学
ここからは筋子について掘り下げます。
筋子として加工する場合
前述したように筋子は卵巣膜(筋)を残したまま加工する為、卵自体の皮が硬い物は好まれません。
川に遡上する直前(産卵直前)の物は卵が成熟しており、皮がしっかりしているので、筋子として加工する場合は沖合いで取れる鮭の方が良いと言われています。
イクラにする場合でも皮がしっかりしすぎていると、ピンポン球のようにブリンブリンになる事もあります。
そういうイクラの事をピンポンイクラと言ったりする事があります。
筋子の種類
上では「鮭の卵巣」として括りましたが、鮭にも色んな種類が存在する為、種類ごとに下記のように呼び名を変えて呼ぶ事もあります。
○鮭子(サケコ)→白鮭の筋子
○紅子(ベニコ)→紅鮭の筋子
○銀子(ギンコ)→銀鮭の筋子
○鱒子(マスコ)→各種マスの筋子※サクラマス、ニジマス、イワナ等
○キング子 →キングサーモン(マスノスケ)の筋子
これがイクラに加工されればそれぞれサケイクラ、ベニイクラ…と呼ばれます。一般的に日本で筋子として呼ばれる物は鮭子ですので、白鮭の筋子という事になります。
筋子の価格高騰
原料となる白鮭の来遊量が年々下がっており、それに比例して白鮭の漁獲量も落ちてきている事が筋子の価格高騰の原因です。需要に対しての絶対数が少ないわけです。
基本的に白鮭は生まれた川に遡上してくるまでに4〜5年と言われており、その習性を利用して漁も行われます。2020年の現在漁獲されている白鮭は2016年生まれの4年魚と、2015年生まれの5年魚ということになります。
という事は5年前に生まれた鮭の稚魚が大きくなる上での成長環境が整っていなければなりません。
近年は海水温上昇による生態の変化などが問題視されていますが、そういった事も要因となり来遊量が減っているのではないかと言われています。
鮭の産卵について
筋子・イクラに付随して鮭の産卵についても触れておきます。
鮭の産卵方法
鮭の産卵は以下のような繁殖行動のもとで成り立ちます。
❶メスの鮭は産卵場所を決めると少し穴を掘って、オスが来るのを待ちます。
❷オス同士の争いに勝ったオスが産卵の近いメスに近づき求愛します。
❸メスが抱卵すると、そこにオスが放精します。
メスの鮭は抱卵を3〜5回に分けて行う為、この繁殖行動を数回繰り返したのちにメスは力尽きてしまいます。またオスも自分の子孫をできる限り残すために産卵間際のメスを見つけて求愛し続けますが、放精から1週間のうちに力つきてしまうそうです。
なぜ産卵後死んでしまうのか
鮭の種類によっては死なないものも居ますが、鮭は産卵が終わると死ぬように遺伝子にプログラムされているからなのです。
ですが、「鮭は死んでも生きている」と言われる事があります。
どういうことかというと、自然界において寒い地域の冬の冷たい季節に餌となる食料は多くありません。死んだ鮭はこうした状況下の中で必死に餌を探す鳥や熊等の餌となり、命を繋ぐ役割があるのです。
それだけでなく、死んだ鮭は微生物によって分解されプランクトンとなり、自分たちの子孫である子供たちの餌となり命を繋いでいきます。
死ぬことで自分たちの子孫の生きる源となる。
何とも切ないストーリーですが、鮭のそう言った習性と生態メカニズムがあるから生き延びていられる子孫や動物がいるという事を僕たち人間が理解しておく必要があるでしょう。
そして、人間の命までもつながっている事を決して忘れたくないですね。感謝。
鮭についてはこちらの記事で鮭の種類や、特徴的な習性である母川回帰能力等に触れていますので、参考までに。
筋子・イクラの豆知識【寿司屋が教える】:まとめ
鮭の産卵する際の生態メカニズムと言った付随する豆知識にも触れながら、筋子について解説してみました。
違いはもちろん、鮭の命についても少しお分かりいただけたかと思います。
鮭だけに限らず、色んな命が繋がり人間が存在できていることをこの記事を通じて考えることができました。
命に感謝。